2017年11月17日金曜日

日本を凋落の危機から救う対策は??

【このテーマの目的・ねらい】
 目的:
  日本の良さを明らかにし、それを通すことを主張されている
 「日本のものづくりを救う!最強のすり合わせ技術」
  をご紹介します。
  その延長で日本が生き残る道を検討してみます。

ねらい:
  何とか安倍総理の力で
 この方向が実現できることを期待いたします。
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津曲公二さんと酒井昌昭さんの書かれた
日本のものづくりを救う!最強の「すり合わせ技術」
を読ませていただいて考えました。



本書は、日本の国民性、優れた資質を活かして、
日本頑張ろうというメッセージを発信しておられます。
思いがたいへん重いメッセージです。

大賛成で、これを機会に
日本を凋落ならぬ没落の危機から救う方法を検討してみました。
まず日本人の国民性についてこう書いておられます。
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【わが国だけにある資源】

他の国にはなく、わが国だけにある資源、
それは日本だけを見ていると見えにくいかもしれません。
海外に旅行すれば、はっきりとわかってきます。

階層意識が低くオープンな社会構造
約束を守る、
時間を守る、

協調性にすぐれ、
勤勉で誠実な国民性、
黒か白か決着を付けずにあいまいさを許容する、

職場で上司が部下を育成する気風、
必ずしも儲けだけを追求するのでなく誰かの役に立ちたいという経営、
リクツはともあれまずはやってみようという技術(実践)志向。

技術大国日本の資源はヒトであり、
ヒトを大切にする文化だと思います。
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ビジネス風土についてはこういう主張をされています。

1)社会の階層意識が低い。
2)カネ儲けより誰かの役に立ちたい。
3)いいとこどり(クリスマス、除夜の鐘を聞く、神社に初詣する、
  TQC,QC、シックスシグマ、PM、TOC,VE,VA)

して「経済と道徳を融合させた渋沢栄一」
「行き過ぎた儲け主義を否定したソニー創業者の信念」を紹介された後で、
「誠実で真摯な努力が世界で味方をふやす」を結びとされています。

途中で、現代日本の弱点も指摘されています。

企業間で階層意識がある。
見せかけの安心で、ほんものの安全をごまかしている。
効率性重視で効果性軽視の傾向がある。

しかし、日本の良さを見直して原点回帰しようと主張しておられます。.
そのとおりだと思います。

しかし私の見るところ、
現代日本が苦境に陥っている原因は大きく二つあります。

1.技術がそして社会生活が革新の
  時代に入っている。

これはご承知のとおりのことですが、日本人には逆風です。
日本人の思考法には全般的に見ると、
千年に亘る農耕文化によって醸成された以下の傾向があります。

1)先進性がない(過去の延長で物事を考える)
2)集団の和を重んじ独自意見表明を嫌う。
3)その延長で、リーダシップを発揮したがらない。

この思考法は、
過去の延長で改良をしていけば良かった高度成長期まで、
日本の製造業が世界を制覇するのに貢献しました。

今はその時代ではありません。
ダイソンに掃除機で負ける時代になってしまったのです。
この掃除機には
技術で負けたのではなく発想・企画で負けたのです。

製造技術で生き残れる日本の製造業はあるのでしょうか。
今や自動化・ロボットの時代でしょう?
自動車だってEVになると
すり合わせ技術は不要になると言われています。

この時代は、新しいモノ、コトを考える発想力が求められているのです。

2.精神風土は米国流に毒されて、
  日本的良さ・美徳を失いかけている。

「失いかけている」と言うのは、こういうことです。
戦前生まれの旧世代人およびその旧世代人に育てられた日本人は
日本的良さを失っていません。

しかしその後の世代は、
都会の核家族育ちでその良さが伝承されていません。

東北大震災の時に、
自分のことを置いて他人を助けた多くの美談が
世界の人たちに感銘を与えました。

これは「田舎」であるから実現したことなのです。
都会ではマンションの隣人を助けたりしないでしょう。

この2点を要約すると、
日本人の思考特性の良い部分を失って
苦手な部分で戦わなくてはならない時代になってしまっている
ということです。

どうしたらよいのでしょうか。
同書では、「すり合わせ」を知の世界に持ち込んで、
知のすり合わせ」をしたらよいと言っておられます。

「知のすり合わせ」は、
部門間とか機能間での調整ということになります。
私の勉強不足かもしれませんが、、モノのすり合わせ技術と

部門間の調整技術とは全く異質のものではないでしょうか。
部門間の調整が日本でやりやすいとすれば、
縦割り意識よりも企業一家主義で
協調意識があるという面かもしれません。

残念ながらこの点も、
米国流に毒されて弱くなってきているのではないでしょうか。
もう一度言います。どうしたらよいのでしょうか。
あらためて日本の特性を評価してみましょう。

 1)高齢化先進国である
 2)きめ細かい気づきが得意 
 3)地道な努力をする
 4)自然との共生

この2)~4)は日本人のDNA的な特性で今も活きています。

日本が得意な技術は、2)と3)を活かして

5)ロボット
6)ゲーム、アニメ
でしょう。

この特性から考えられるのは、
以下の領域のビジネスではないでしょうか。  

A.ロボットを積極的に活用する介護・医療の世界
 
 この点の認識は一般的かと思いますが、
 国家戦略として他の領域は捨ててここに重点投資すべきです。

B.ロボットとゲームを融合した
     老人を元気にするもの・スポーツの世界
 
 老人が元気に活動すれば、
 健康寿命が延びて医療費の削減になります。
 
 老人たちが家にこもらずに毎日外で楽しめる
 ゲートボールより断トツで素晴らしいものを開発するのです。
 AIの活用なども有効でしょう。
 ヒントはSONYが今年の6月に13年ぶりに出した玩具
 と言われる、学べるロボ「トイオ」です。
 これを人体大に大型化して、チームでロボットを作り
 お互いに戦わせるのです。

C、老人が社会貢献できる働きの場を作る世界
 
 老人が遊んでばかりの社会は成り立ちません。
 老人の知識・知恵を活用する働き場を作る必要があります。

 たとえば、
  ロボットの助けを借りての介護関係
  ゲーム・アニメの力を借りての小学校の社会科の先生
  同じく体育や音楽、家庭科の先生

  ロボットの力を借りて植物(お花や果実)を育てる農業
  (お花や果実は心を込めるといいモノができるのです)
  自然との共生心を活かす道はもっとたくさんあるでしょう。
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途中から、私の主張になってしまいましたので、
あらためて、本書の主張をご紹介しておきます。
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本書では、すり合わせ技術を使いこなすだけにとどまらず、
技術者の生き方や日本のビジネス道などを
6つの章(観点)にして、述べています。

第1章 効率一辺倒はやめる。

わが国は「見えない資産(無形の資産)」の宝庫であり、
社会の安定を維持していること、
これはどこの国もなし得ない優れた特質です。

すべてにおいて効率指標をもちこむことをやめれば、
わが国はもっと発展できます。

第2章 国際標準に振り回されない。

国際標準にはホンネがある。
物ごとには、もっともな建前や美しいかけ声の裏に
必ず都合のよいホンネがあります。

これらを知り、自らが提案できるためにはどうすればよいか。
筆者たちが企業で体験した事例を加えています。
注:津曲公二さんは日産自動車、酒井昌昭さんはソニーのご出身です。

第3章 「すり合わせ技術」

わが国でなければできないことは、「見えない資産」を知り、
他社がまねできないやり方を生みだすことです。
いまそこにあるさまざまな資源の活用を考えます。

第4章 戦略に強くなるカギも
     「すり合わせ技術」

わが国は戦略で負けています。
マクロよりもミクロが気になり、手法に関心を寄せるが、
残念ながら、その背景にある思想(ベースになる考え方)は
あまり気にしない傾向があります。

すり合わせ技術を上手に使えば、
戦略と戦術は同時進行できることをみていきます。

第5章 チーム力を磨くために
     技術者がはたすべき役割

技術者はやりがいのある仕事です。
とくに日本においてはそうだと思います。

職場で仕事をしながら自分はどう成長するか、
技術者のリーダーシップとは何か、
いざというとき判断がぶれないための軸にしたいことなど、
技術者の器量について述べます。

注:お二人は技術者です(でした?)。

第6章 日本のビジネス道

積極的に世界に向けて発信すべきことを提案しています。
誠実で真摯な努力を基本にする日本のやり方は、
世界の各国から信頼されています。

いま世界中でカネ設け第一のやり方が広まっています。
日本のビジネス道がこれからも
世界で信頼され続けることを述べます。

日本のように共存や共生に重きを置く国は、
世界にもっとあったはずですが、
今ではほとんど日本だけになりました。

自分の企業の利益だけしか考えないやり方、
市場を独占するのがベストという考えかたなどは、
いずれは破綻してしまうことでしょう。

日本のやり方は世界に広めるべきすばらしいもの、
という認識を、技術者にかぎらずすべての人たちに
強くもってもらいたいと思っています。
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お二人の言われるとおりです。
しかし、最近の製造業で起きている複数の不正は、
まさに「効率重視」に毒されて起きてしまっていることで、
世界に対して日本の信用を大きく傷つけてしまっています。
お二人の悩みは大きいでしょう。

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