2017年3月31日金曜日

交通事故死傷者が多いのは何歳??

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 小中高生たちが出会う交通事故の状況を知っていただきます。
 データを読む練習をしていただきます。

ねらい:
 データに出会ったらなぜそうなるのか考えるようにしましょう。

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3月23日と27日の日経新聞に
交通事故の死傷者に関する情報が載りました。

以下のデータを見て「なぜそうなるのか」と思われますか。

以下の統計はすべて 2012年~2016年 5年間の平均です。






















小中学生の年齢別 歩行中交通事故死傷者数(一部)
 

  年平均
死傷者数(人)
  同10万人当り
死傷者数(人)
備考
  6歳   1098.2   102.3
  7歳   1564.6   146.4   最高
  8歳   1208.8   113.8
   
 全年齢平均    46.8人

小中学生の学年別 歩行中交通事故死傷者数(一部)



 
  5年間
  死傷者数(人)

備考
  死者数
 小学1人   8,075   最高   30人
 小学2年     以下漸減   30人
 
 小学6年   2,210
  小学生
  29,317
登校中:
4139人
下校中:
6001人
男児65人
女児26人
  計91人
 中学1年   2,641 逆転増加
 中学2年   減少
 中学3年   1,674 最低
 中学生     計18人
全年齢平均  35,816  

中高生の自転車による交通事故死傷者数
  区分
  5年間の
死傷者(人)
  内自転車に
よるもの 人
  その比率等
 中学生
  59,313
  35,049
59%、
死者25人、
男2/3
内中1   12,932 中学生で最多
高校生 115,735   74,920
65%、
死者67人、
男2/3
内高1   31,270 高校生で最多
  中高
  合計
175,048
109,969
63%
登校中:
 36,848
下校中:
 22,575
出会い頭:
 66,872


新聞ではこういう解説がついていました。

歩行中の事故について
 16年の10万人当たりで見ても、
 最多が小1の122.8人で、最小が中3の24.7人、
 40.6人の中1だけは小6の35.3人から増加しており
 進学による通学路変更が要因とみられる。

 月別では夏休みまでの4~7月と、
 秋になり夕暮れが早くなる10,11月が多い。
 →下校中が多い理由。

自転車による事故について
 中1と高1が多くなっている要因としては、
 新入生が慣れない通学路で危険な場所などに気づかず
 事故に遭っていることが考えられる。

私はさらに以下の分析をしました。

1)なぜ歩行中事故は7歳が最多なのか

新聞の見出しでも意外という意味で
「歩行中事故7歳最多」という大見出しを付けていました。
 
皆さま、どう思われました?
学年別では小1が最多なのです。
これはそうだろうという結果です。

ではこの違いはなんなのか?
6歳=小1ではないのでしょうか?

実は、6歳の4分の3は未就学児です。
1人で出歩きません。
親の保護の下での歩行ですから事故にも遭いにくいでしょう。

7歳の4分の3が小1なのです。
ですから7歳≒小1です。
したがって、小1が最も歩行中事故が多い、
というもっともな結果なのです。

新聞はいい加減な見出しを付けたことになります。

2)小中高とも1年生が交通事故に遭いやすい。

これは私の分析ではありません。
単なる確認です。
通学路等に不慣れで起きているのでしょう。

3)小学生の歩行中の事故は下校中が多い理由

登校時は緊張しているし、
近所の交通係のオジサン等が誘導している場合も多い。
下校時は、ふざけて駆けたりもするでしょう。

4)中高生の自転車事故は登校中が多い理由

登校中は遅刻しないようにと急いでいます。
自転車での下校中は歩行中とは違って
ふざけて移動するということも少ないでしょう。

5)自転車による死傷者は高校生が中学生より多い

これは高校生が乱暴なのではなく(多少はそれもあるかも)、
高校生の自転車通学者が多いためでしょう。
その数値がないので断定はできません。

6)死者は歩行中も自転車利用中も男性が多い

これは男性の人数が女性の人数よりも多いからではなく、
男性の行動の方が活発・乱暴・ダイナミックだからです。

死者の人数はそう多くはないですが、
それでも、ご家族のショックはたいへんなものです。

警察庁も多くの交通事故対策を常時実施中です。
事故件数を減らす対策も必要ですが、
死者が発生しない対策を考えて集中的に実施してほしいですね。


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