2015年11月2日月曜日

どうすれば世界一低い労働生産性を高められるか!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 「居場所のない男、時間のない女」「仕事と家族」の課題を検討します。
 日本の労働生産性の低さを改善する方法を研究いただきます。
 
ねらい:
 皆様で、日本の沈没からの打開策を考えていただきます。

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別項「居場所のない男、時間のない女」「仕事と家族」での問題提起は、
「日本の労働生産性、すなわち1時間当たりの稼ぎ(付加価値)が低い、
これを高めなければならない」
ということでした。





前掲書を含め、なぜ日本の労働生産性が低いのかは
ずい分議論がなされています。
うんざりするほどです。
その詮索はもうやめて、早く改善の一歩を踏み出しましょう!!

そこでその対策についての私見をご紹介します。

「どうすれば人間は一所懸命働くか」というテーマです。
仕事が楽しいことが一番ですが、
それと並んでかそれ以上に「頑張ると報酬が得られる」ことです。

そういう給与体系を考えます。

まず、この給与体系を整備する前提を述べます。

1.「就職」「採用」の方法を変更します。

従来のような就社は止めて、
職種を選択し応募し、採用試験を行うこととします。

職種の区分は以下のように企業が設定します。
 営業職
 各種専門職(会計・経理、人事・労務を含む)
 各種作業職
 総合職(上記以外の職種)

2.その職種の給与体系(以下に解説)を明示した上で、
職種選択が行われます。

3.入社後、職種転換したい場合は、本人が希望を出し、
会社側と調整します。

職種転換すると、
一般的には能力給の「必要な知識」点が下がりますので、
その前提で職種転換を考えることになります。

4.以下に説明する給与体系の整備ができた職種から
新方式に移行します。

旧来の成果基準方式等の新給与体系は、
全社一斉に切り替えることとしたために
拙速部分が破たんして全体の失敗を引き起こしています。

生産性を高める給与体系(上野私案)

こういう新しい給与体系を提案すると、
人事関係者は必ず反対します。

「そういう試みは従来いろいろやったがどれも成功しなかった」
と言って、その根拠をあげつらいます。

成功しなかったのは検討不足・工夫不足だったのです。

このような給与体系は必要なのです。
そのつもりで必死に考えていただく必要があります。

給与=生活給+成果給+能力給とします。

業務成果を定量的に把握可能な業務と
そうでない業務の給与算定方式を分けます。

対象業務
生活給
成果給
能力給
備考
成果が明確な作業的業務
――
能力給の一部を取り入れてもよい
成果が単純に測定できない業務
――
特筆事項あれば成果に対して賞与支給

この全体を図式化すると以下のようになります。
(クリックすると拡大します)
















1.生活給
生活給を給与総額の中でどの程度の比率にするかは、
その企業で設定します。
時代と共に変化していくことが想定されます。

生活給は以下の方式で算定します。
従来の給与体系でいう基本給のようなものです。

ただしこの生活給は、
最低限度の生活維持費用を支給する考えで、
 配偶者手当+養育手当+介護手当
とします。

以下の手当は、年齢・職種によらず一定です。
 
配偶者手当 男女を問わず配偶者がいれば支給します。
 
養育手当 子供の年齢別に1人当たり支給額を設定します。
  06歳未満
  6歳―15歳未満
  15歳―18歳未満
  18歳―22
 
介護手当 以下の条件別(例示)に設定します
  70歳―80歳未満 同居
  70歳―80歳未満 非同居・介護責任あり
  80歳以上  同居
80歳以上  非同居・介護責任あり

2.成果給
業務の成果を定量的に算定できる業務に対して適用します。
 営業(セールス)、事務処理、作業的業務、現場作業、
が対象です。

自分で作業成果をコントロールできない、
コンベア生産のような場合にも適用します。
何らかの努力によって成果を高めることが可能だからです。

この成果給は、年齢・経験・勤務形態等によらず、
対象業務別に成果給算定レートは一律とします。
成果の量が測定できていない作業的業務については、
研究を行って量の測定法を確立します。

その例をご紹介します。
従来は生産量が測定できなかったソフトウェア保守業務について
システム企画研修㈱では「SW式工数見積り手法」を開発し
保守の生産量を把握可能としました。

保守の生産量(保守FP値)=変更規模ポイント×難易度ポイント
で把握します。
その変更規模ポイントの算定方法を開発したのです。

という風に作業的業務であれば必ずその測定法があるはずです。

なお、グループで作業をした案件については、
そのグループで案件ごとに個人の配分比を決めます

3.能力給
多くのオフィス業務が対象となります。
作業の成果を定量的に把握するのは困難ですから、
以下のような方式で能力を測定して能力給を算定します。

 能力給=基礎能力×対象業務に必要な知識×意欲

とします。
(1)基礎能力の評価方法について
システム企画研修㈱で開発した能力評価システム
の場合の例をご紹介します。

この評価システムは対象職種不問ですが、
職種によってウェート付けを変える運用も考えられます。

能力区分
例示
能力
項目数
資質・適性
強靭性、積極性、創造性など
15
意識・思考法
自主性、責任感、倫理観など
12
行動様式
遅滞なく行動する、集団指向で行動するなど
11
職業人基礎能力
ビジネスマナー、文章力など
コミュニケーション能力
対話力、交渉力、調整力など
業務遂行基本能力
目的指向力、広い視野で物事を考える能力など
問題解決能力
問題感知能力、目標設定能力など
合計

60

それぞれの項目について5点法で評価できるようになっています。
評価は本人と上司によって行います。

(2)対象業務に必要な知識について
これは対象業務ごとに設定します。
システム企画研修㈱が運営しているフォワードコンソーシアム
(エンハンス・ソフトウェア保守業務の活性化活動推進組織)
で設定している情報システム従事者の必要知識は
以下のようになっています。
 
領域
項目数
①経営機能についての基本知識
現在のところすべて10項目
②経営組織についての基本知識
③会計知識
④業務知識 
⑤業種知識 
⑥マネジメント手法
⑦法・規制知識
⑧IT動向知識
⑨システム関連手法
⑩システム構築・運用関連知識 


(3)意欲の評価方法について
能力と知識が同じでもやる気次第で
成果は倍以上の開きがあるでしょう。
有名なホーソン実験がそれを示しています。

これについては、私は今まで研究をしていません。

しかしこの世界の専門家は多数おられます。
その方々の知見を活用すれば、

この領域の評価システムは難なくできると思われます。

ということで、不名誉な(先進国で)世界一低い
日本の時間当たり労働生産性の改善のために
努力をしようではありませんか!!

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