2015年8月13日木曜日

原発事故の責任は誰にある??

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 福島原発事故の責任はどこにあるのか
             あらためて考えていただきます。
 その原因は想定外の津波が来たことではない、
 そもそも必要な対策をとらなかったことにあることを
                      知っていただきます。
ねらい:
 なぜ、このような真実から世間の判断がずれてしまうのかを
  考えていただきたく思います。

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2015年7月末、検察審査会は,
東電の勝俣恒久元社長ら旧経営陣3名を
福島原発事故の刑事責任を追求すべきという判断をくだしました。

この問題では、「福島原発告訴団」が24年6月、
東電や政府の関係者ら計42人について「津波対策を怠った」として
業務上過失致死傷罪などで告発しましたが、
東京地検は25年9月、
「予見は困難で、刑事責任は問えない」
として全員を不起訴としました。

検察審査会は26年7月、
勝俣元会長ら3人について起訴相当を議決し、
議決を受けた東京地検の再捜査でも
3人は不起訴となりました。

そこで、検察審査会が2回目の審査をしていました。
2回に亘って起訴相当の判断が行われると
強制起訴となるのです。

強制基礎が決まったことを報じた8月1日付の日経新聞は
こう報じています。

公判での大きな争点の一つは、
福島第1原発に
全電源喪失が起きるほどの巨大津波が襲来することを
予測できたかどうかだ、としています。

2008年に政府機関の地震予測で、
明治三陸沖地震並みの地震が起きた場合、
福島第1原発に到達する津波の高さは15.7メートルになる
と試算されていたことから、
検察審は「予測できた」としています。

もう一つの争点は、
東電が防潮堤の強化などの対策をとっていれば、
今回の事故は防げたかどうかという点だとしています。

検察審は、
安全対策を検討しその間だけでも運転を停止していれば、
あるいは、
海面から10メートルの敷地上に10メートルの高さの防潮堤を作る、
浸水を前提として小型発電機を高台においておく
などの対策をとれば事故を防げたとしています。


私はこの事故の原因を早くから以下のように決めつけていました。

2011年5月18日水曜日

福島原発の事故およびその被害拡大原因 

1次原因は、そもそも何が悪かったのか、です。
それがなければ事故は起きていません。
こういう原因を品質管理の世界では、
発生原因(もともと起きてしまった悪いこと)と言います。

1次原因は、原子炉の冷却等を行うための予備電源
が使用不能になったことです。
そのために燃料棒が高熱になり
水素爆発等を起こしています。

予備電源が使用不能になったのは、
予備電源が完全防水になっていない
タービン建屋に置かれていたからです。

この時に技術導入した原発はGEのもので、
GEの原発は海岸沿いにはありませんでした。

ついでに言えば、冷却用の海水を取り入れる装置も
密閉状態ではなかったのです。

電源等が回復した福島第2原発では
3月14日19時前に冷却に成功し、
その後何らの問題も起こしていません。


(今回上野記)
ほぼ同じ環境にある第2では全く問題が起きていないのですから、
第1と第2の設備の差が事故原因なのです。

福島原発事故は、
原子炉または原子炉建屋が水をかぶって運転不能になり
事故が起きたのではないのです。

原子炉建屋は全く問題ありません。
予備電源が水をかぶったことが事故原因なのです!!

素人の私が言うことは信用されないかもしれません。
しかし、
2012年7月に大前研一さん(原子核工学科の修士です)が
出された「原発再稼働最後の条件」で
第1と第2の予備電源の差を検証し、
予備電源の不備が致命傷なったことを述べておられます。


第2原発の予備電源は
防水が完全な原子炉建屋に置かれていました。

電源が回復して本来の冷却機能が働けば、
最短で1時間、長くても2時間半程度の冷却で
安全な冷温停止状態にもっていけるのです。

たったこれだけのことができないばかりに
大騒ぎになってしまっているのです。
今回の事故の発端は
予備電源をタービン建屋に設置した、
というそれだけのことなのです。

そうなのですよ!!

こういうことを
「千丈の堤も蟻の一穴から」と言うのでしょう。

2次原因は、
なぜ1次原因がそのまま見過ごされてしまったのか、
という原因です。
品質管理等の世界では流出原因
(発生原因がそのまま外に出てしまった、という意味)
と言っています。

今回の場合の2次原因は、
ほぼ同じ環境(海岸からの距離や海抜高)にある
隣の第2原発の建設時に実行したことを、
なぜ第1原発についても対応をしなかったのか、
ということです。

第2原発では、
予備電源を原子炉建屋に置いたのは、
予備電源の重要性を認識してのことでしょう。
それだったら、第1原発も変更すべき、
と考えるのが常識的判断ではないでしょうか。

どうして放置したのでしょう。
これは解明されるべきです。

おそらく、第2原発の設計検討途上で、
予備電源の発電機を
原子炉建屋内に置くことにしたときに
誰かが、
「第1原発は、今のままでよいのでしょうか」
と発言したのではないでしょうか。

ところが、その時の責任者が、
「いいんだよ。
どうせそこまでの震災が発生することはないんだから」
というような無責任な発言で
その問題提起をもみ消したのではないでしょうか。

この責任者と、第1原発の設計責任者は、
万死に値する重大責任者です。
今のこの大惨事はすべてこの二つのことから
始まっているのですから。

事故が始まってからの対応が多少まずかった、
などは、この二人の責任に比べれば
本当に微々たるものではないでしょうか。

ということからすると、
本当の責任者(ワル)は上記の二人ですが、
2008年頃にでも、その気になれば
予備電源の設置場所の補強ができたはずです。

したがって、「その気にならなかった」ということでしょう。

しかし、2008年に津波の予測情報があったのですから、
その情報がトップに行かなかったのか、
それを無視したのならやはり経営責任でしょうね。

私は、この後、各原発で堤防を作っていることに
「そんな無駄なことをするな!」と異を唱えてきました。

津波を避けるのではなく、
津波が来ても浸水されない設備にすればよいのです。
すでに、
原子炉が入っている原子炉建屋は完全防水なのです。

他の設備の完全防水化などは大したことではないでしょう。
その方がはるかに安くて確実な対策なのです。

なぜそんなことが分からなくて、
世俗的な意見に流されて堤防など作るのでしょうか。
憤慨!憤慨!!です。

誰が悪いのでしょうか?
誰がバカなのでしょうか??

8月に運転再開した川内第1原発の安全対策は、
第2と玄海原発を合わせて3千億円だそうですが、
防水対策が中心のようです。

詳しくは分かりませんが、
福島原発の教訓から学んだと言いますから、
余計なことをしていないことを願います。

今回起訴される旧経営陣の責任がどうなるかは、
法廷での判断次第でしょうが、
福島原発事故は、津波が原因ではなく、
人災(人間の抜かり)であることは間違いないのです。



私の本件に関する意見の集約は以下をご覧ください。

2012年7月31日

福島原発事故の原因-上野見解最終集約

http://uenorio.blogspot.jp/2012/07/blog-post_31.html

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