2015年6月28日日曜日

日本創生会議 東京圏の高齢化危機問題の提言はまともです!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 日本創生会議の提言の意図を正しく理解しましょう。
 なぜ誰がこの提言に異論を唱えるのか考えてください。

ねらい:
 マスコミの取り上げ方の表面でことを理解するのはやめましょう。

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日本創成会議 首都圏問題検討分科会は6月4日に
「東京圏高齢化危機回避戦略 一都三県連携し、
高齢化問題に対応せよ」を発表しました。
以下がその概要版です。
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Ⅰ.東京圏(一都三県)の高齢化はどう進むのか

■今後東京圏は急速に高齢化。後期高齢者は10 年間で175 万人増
○団塊の世代が大量に高齢化。2020 年には高齢化率26%超へ。
○後期高齢者は今後10 年間で175 万人増(全国の3 分の1 を占める)

■千葉県、埼玉県、神奈川県の方が、東京都より高齢化率が高くなる
○2025 年の高齢化率は、東京都25.2%に対し、千葉県30.0%、
埼玉県28.4%、神奈川県27.2%にまで上昇。
○後期高齢者の増加率も周辺県の方が高い。東京都34%増に対し、
埼玉県54%、千葉県51%、神奈川県46%の増加。

■東京都区部は、若者が流入する一方、高齢者は流出している
○周辺県の方が高齢化率が高い理由は、高度成長期に造成された大
規模団地の入居者が今後高齢化するため。高齢単身世帯も急増。
○若年層は周辺地域から都区部に流入しているが、60 代以降の高年
齢層は逆に都区部から周辺県に転出していることも影響。
(住民基本台帳ベース)。

Ⅱ.東京圏の医療・介護は今後どうなるのか

■2025 年東京圏の介護需要は、埼玉県、千葉県、神奈川県で50%増加
○全国平均32%増に対し、東京38%増、埼玉52%増、千葉50%増、
神奈川48%増。

■東京圏は、都圏域を超えて医療介護サービスが利用されている
○急性期医療(一般病床)は、周辺地域が東京都区部に依存。埼玉県10%、
千葉県6%、東京都市町村部12%、神奈川県5%が
東京都区部の医療機関に入院。
○慢性期医療(療養病床)および介護は、
都区部が周辺地域に依存。有料老人ホームやサ高住など特定施設では、
都区部の住民が都区部内施設に入居している割合は68%。
○「一人当り急性期医療密度」は埼玉、千葉、神奈川の多くが
0.6~0.8(全国平均1)。
高齢者の肺炎・骨折など急性期医療を中心に医療不足が深刻化する。

■東京圏全体で介護施設の不足が深刻化。高齢者が奪い合う事態になる.
○2015 年は都区部の不足を周辺地域が補っているが、
2025 年以降、東京圏全地域でマイナスとなり深刻な不足が生じる恐れ。

■東京圏の医療介護体制の増強は国民経済的に負担が大きい。
人材流入が高まれば、「地方消滅」が加速する
○介護施設整備費は東京は秋田県の2 倍。介護給付費は20%上乗せ。
上乗せ部分の負担額全国1700 億円のうち800~900 億円が東京
○2025 年にむけて東京圏では80~90 万人の増員が必要

Ⅲ.東京圏の高齢化問題にどう対応すべきか
~東京オリンピック・パラリンピック後では間に合わない。
今から議論し、対策を行う。

1.医療介護サービスの「人材依存度」を
引き下げる構造改革
○ICTやロボットなどの活用によるサービスの効率
化、生産性の向上。
○資格の融合化、マルチタスク型の人材の育成。
○外国人介護人材受け入れの積極的推進

2.地域医療介護体制の整備と高齢者の集住化の一体的促進
○医療介護や日常を支えるサービスに、徒歩や公共交通
機関でアクセスできる地域への集住を促進。
○大規模団地の再生(高齢者の活躍できる場の確保、医
療福祉拠点の整備、若者の団地入居促進等)
○宅地価格下落に備え、早期住み替えを促進する税制措
置、公的な買い上げシステムの整備。
○「空き家」を有効活用(医療介護拠点への転用等)

3.一都三県の連携・広域対応が不可欠
○一都三県+5指定都市の連携による
「東京圏高齢者ケア・すまい総合プラン(仮称)」の策定。
○国も積極的に支援。

4.東京圏の高齢者の地方移住環境の整備
○移住関心者に対し、ワンストップ相談窓口の整備や
移住に伴う費用の支援、お試し移住支援などを推進。
○定年前からの勤務地選択制度や地方移住(二地域居住を含む)
を視野に置いた老後生活の設計を支援。
※企業の雇用延長等により、60 代前半の移住が減少
○日本版CCRC構想の推進

CCRCとは、Continuing Care Retirement Communitiesの略で、
Continuing Care(継続的ケア)とあるとおり、
元気なうちはもちろんのこと、途中で介護が必要になっても
継続して介護を受けながら生活をしていける施設のことを指す。
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この最後に、
東京圏の高齢者に地方移住を促進する対策を述べていることが、
一部の識者??の反発を買いました。

「姥捨て山の発想ではないか」
「地方へ行けなどは、上から目線だ」
「個人が決めることで放っておいてくれ}
「地方に介護の負担を押し付けるのか!」

などなどです。

ところが、「東京の高齢者よ!地方へ行きなさい」
などとは言っていません。

現状を述べ将来を予測しているのです。
その将来に備える必要がある、という極めて客観的な提言です。


東京都の舛添要一知事が6月5日の定例記者会見で、
以下のような発言をされたそうです。
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一生懸命、働いた。50代になって行けというけれども、
マイホーム、一生懸命、頑張って
ローンを組んで買ったわけですよ、東京に。
それが、売り払わないといけない。
売れますかと。元取るぐらいに売れますかと。

それで、私はもともと福岡だから、
例えば、では、私は福岡に帰りたいと。
女房、ついてくるか。そんなところ行きたくない、
あんた、1人で勝手に行け。
皆さん、配偶者、どうですか。
特にお勤めしていて働いている人、
あんた、旦那、勝手に行きなさいということになる。
子供を抱えていて、子供が受験だったら、
今、学校に行っているの、どうなのか。
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政治は大局的観点に立って、将来も予測して
必要な手を打たなければならないのです。

この提言はその意味では、非常に大きな意義があると思います。

放っておいて、そうなってから大騒ぎするのではなく、
放っておくとこうなりますよ、
したがって政治・行政はそれに備える必要がある。
個人も可能であればその対応をしたらいいですよ、
という警鐘を鳴らしているのです。

老人はあるいは老後に備えて
地方に行きなさいなんてことは言っていません。

どういう人が、反発するのでしょうか?

真面目な提言を面白くしようというマスコミの作戦なのですかね。
これの背景は私にはよく分かりません。


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