2015年2月11日水曜日

日本国危うし!!歴史から学ぶ「国が滅びるとき」!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 国としての日本がおかれた危機的状況を再認識しましょう。
 どういう時に国が危ないのかを歴史から学びましょう。

ねらい:
 一人ひとりが反省と自覚をして行動しましょう。

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この項も愛読誌「致知」からのご紹介です。

月尾嘉男東大名誉教授(工学博士)と
中西輝政京大名誉教授(国際政治学が専門)との対談
「歴史に学ぶ日本のすすむべき道」です。

このタイトルからすると、
よくありがちな前向きなべき論かと思います。

ところが違うのです。
議論の中心は国はどういう時に滅びるかなのです。
要点をご紹介します。

1.この僅か60年余りの期間に200近い国が滅びている。
 代表例は、旧中国、東ドイツ、ソ連、

2.代表的な滅びた国
 カルタゴ(経済優先の国で国防も傭兵に頼った)
 古代ローマ帝国(「パンとサーカス」を国民が求め堕落)、
 唐(商品流通経済が謳歌され、文明が衰退して滅亡)

 ヴェネツィア(1797年ナポレオンに降伏。)
  16世紀以後階級が固定化し、貴族階級が国を支配した。
  固定化は変化への適応力が低くなる。

  彼らは結婚しなくなって人口が減って衰退した。
  それまでの繁栄の基だった貿易をリスクが高いと敬遠し、
  土地の資産運用で生活をするようになった。
  土地の分割で分け前が減るからと、子供を増やさなかった。  
  技術革新(造船技術)も怠って生命線を失ったことも敗因。
 
 19世紀のヨーロッパ(金融経済のグローバル化によって
  ヨーロッパに富が集中し、ヨーロッパ人の腐敗や傲慢さを生んだ。
  第1次大戦でヨーロッパ文明は滅びた)

 中国(共産党と文化大革命で伝統・文化を破壊した)
 ロシア帝国(共産主義がロシアにあったよきものを全部清算した)
 

3.国が滅びる原因
 滅びた国は他国に滅ぼされているのだが、自滅する要因も抱えている。
 
 民族性や人間性こそ国家を支える最も重要な柱である。
 
 1) 経済が最も重要な価値を持つようになった時が危ない。
  金銭至上主義の価値観が
  精神の腐敗・傲慢さを生みだして、国が衰退していく。

  また、富が不平等になると不満(マグマ)が爆発する。
 
 2)グローバル化で移民が流入し民族性が失われる国は弱い。
  (上野疑問。移民の国アメリカはどうなのか?)

 3)今の環境に安住する国は滅びる。
  生物界で過剰適応という概念がある。
  ある環境に最適な適応をしてしまうと環境が変わった時に滅びる。

  例:ニュージーランドには80数種類の鳥がいた。
    150年前にイギリス人が猫や狐を持ち込んだ。
    天敵がいなかったので飛べなくなっていた鳥34種類は滅びた。

 4)人口減少も滅びる要因である。
  ソ連も東ドイツの滅亡にもこの要因がある。

 5)安全保障(軍備)をないがしろにした国は滅びる
  第2次大戦の緒戦でフランスがナチスドイツに完敗したのは、
  文化に溺れて軍備を軽視したため。
  
参考:富の不平等ーージニ係数
 富の不平等さを示すジニ係数が4を超えると革命や反乱が起きる。
 
 中国は6.1で限界を超えている。
 (上位10%の人が64%の家計資産を持っている)
 アメリカは4に近付いている。
 (上位5%の人が60%の家計資産を持っている)

 日本はまだ2.7くらい。

4.日本はどうか。
 明治維新から日本は工業社会で成功した。
 その原理は画一性(大量生産原理)である。
 そこに過剰適応してしまっている。

 現在は情報社会である。
 情報社会の特長は「違う」こと(画一性の反対)である。
 適応できないでいる。

 人口減少にも直面している。

 安全保障を軽視またはタブー化している。

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以上の点を私なりに整理するとこうなります。
かなり危険水域に近付いていると言えそうです。
  
国の滅びる要因
日本の状況
工業社会への過剰適応
  ◎
安全保障の軽視
  ◎
移民による民族性の喪失
  ◎(注)
人口減少
  ○
経済至上主義
  ○
富の不平等
  △

 (注)民族性の喪失は、移民によっているのではなく、
 敗戦とその後の占領者米国の洗脳により
 自ら誇りと自信の喪失から生じています。

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以下に、両先生の安全保障に関する危機意識を
原文のままご紹介します。

(中西先生)
安全保障というものは政治や経済よりも、
また文化や芸術よりも大切な、国として究極のものですし、
この底が破れればあとは地獄なのです。

今の日本人はそういう話題は嫌がるでしょうけれども、
日本の安全保障は
そろそろ最後の第4コーナーを回っているように思います。

そう遠くない時期にアメリカの第7艦隊が日本から撤退し、
中国の航空母艦が伊豆七島近くまで出てくる事態が
私にはハッキリ見えます。

そうなると国土は一瞬にして制圧されて、
銀座あたりに五星紅旗が立つでしょう。

もうなりふり構わず、
日本人に警鐘を鳴らしていかなければならない時期に
入ってきていることを、私は痛感しています。

(月尾先生)
いまの日本には長期目標がないと思います。
明治の人々が考えたような、百年単位で国をどうする
といった目標がありません。

目標がないと何が問題かというと、
用意周到な準備ができないということです。

かつてのアメリカは極めて用意周到でしたし、
いまは中国が用意周到です。

中国は昨年末からニカラグア運河を掘り始めました。
いずれ米中対決を迎えた時に、
中国の息のかかったニカラグアを通って
大西洋への通路を確保しようと考えているわけです。

かつてアメリカがパナマ運河を掘削した時は
同じことを目指していたのです。

さらに中国はインドとの対決の可能性を予想して、
マレー半島の中央のクラ地峡に運河を掘ることも検討しています。

また北極海への進出も準備しており、
アイスランドの首都のレイキャビクで最も立派な大使館は
中国の大使館です。

ミクロネシア連邦に対しても、
中国は同国の国会議事堂の建設費を寄付した上で、
その真正面の好位置に立派な大使館を建てています。

中略

(中西先生)
国家の長期目標を考える時に、
三つ大切なことがあると私は思います。

一つは決して悲観論に陥らないこと。
日本人はいい精神状態になれば、
ものすごい創造性を発揮できる民族なのですが、
いまは日本社会全体にどうも悲観論が漂っている。

やっぱり根太い楽観主義のようなものを
何より大切に考えないといけませんね。

二つ目は合理主義です。
きちっと理にかなったことを考えること。

もちろん余裕がある時は様々な情緒的なものを加味しながら、
より肌身に合った社会を作っていくことが大切ですが、
追い詰められている時は徹底した合理主義でないと
生き延びることができません。

三つ目に大切なのは絆です。
私たちの若い頃は、
日本人の力の根源は集団主義であるとよくいわれていました。

いまは昔のような集団主義はよくない、とされ、
これだけでは人はまとめられませんけれども、
この頃は絆とか、思いやりとかの大切さが
再認識されるようになってきています。

こうした「国民の心を一つにする」ものが
日本に活力をもたらすと思います。
オリンピックなどもその一つですから大事にしたいですね。

(月尾先生)
絆ということで言えば、
私は6年間世界の先住民族を訪れて
テレビ番組をつくったことがありますが、
帝国主義時代に欧米に侵略されて帰属する集団がなくなった民族が
現在いかに悲惨な生活をしているか
ということを知ってほしかったのです。

日本の若い人の中に、
国家など必要ないというバカなことを言う人もいますが、
自分が帰属する、つまり絆を持つ集団のない人々が
いかに悲惨な状況かということを、
広く世界を見て知るべきだと思います。

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そうです!!
国民一人一人が日本をダメにしない努力をすべきですね。
それぞれができることをして頑張りましょう!!

  

1 件のコメント:

黒須豊 さんのコメント...

おっしゃる通りですね。
日本の教育を変える必要があると思います。

特に、以下の点>
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日本の若い人の中に、
国家など必要ないというバカなことを言う人もいますが、
自分が帰属する、つまり絆を持つ集団のない人々が
いかに悲惨な状況かということを、
広く世界を見て知るべきだと思います。
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まったく同感なのですが、よく、思慮の不足している人が、国家と個人を都合よく切り分けて、「国が」、「国が」と騒ぐことが多いのですが、国民主権である戦後の日本において、国とは正に国民が運営するものなわけです。

国を揶揄することは、正に自分を揶揄することであり、国を是正すべき点があるなら、それは、是正できる権限を国民が根源的に有しているということをもっと教育すべきだと思います。そうすれば、投票率も少しは上がるはずです。

アホな左翼気取りが改憲に反対しながら、その憲法が前提としている国民主権を顧みずに、都合よく国民と国家を分離した主張が多いことに呆れますが、このことは、日本の義務教育及びマスコミに問題があると思います。

その意味において、私は是非とも中長期の国造りの視点からも教育改革に期待します。