2014年9月26日金曜日

「地方消滅」

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 人口減少の実態を知っていただく。
 地方の若年人口減少の問題の大きさを知っていただく。
 東京は結婚しにくい土地であることを再認識していただく。

ねらい:
 「地方消滅」を読んで、日本の人口減少の深刻さを考えていただく。
 地方活性化に少しでも力を貸しましょう!!

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テーマ名は、
岩手県知事や総務大臣をされた増田寛也さんが
書かれて話題になっている図書の名前です。

少子高齢化社会の到来は、談論風発状態ですが、
それを新たな切り口で問題提起しておられます。

前提知識として、2013年の平均出生率は1.43で
2005年の1.26から回復していますが、
これが2.07にならないと人口減少は止まらないのです。
2.07になっても、人口増になるのはそれから何年後かです。

日本の出生率は先進国中最低レベルです。
フランスは少子化対策に成功して2.0を超えて1位です。
スエーデン・イギリスも1.9以上で
アメリカも1.9近くです。

このままの出生率だと
2100年には現在の40%の人口になってしまいます。
日本は中国に併合されなくても自然消滅の危機ですね。
















本書は、
「なぜ日本の出生率が低いのか」の謎の解明にもなっています。

本書の主張の概要は以下のとおりです。
























1.農業の衰退、工場の海外移転等で
 地方は空洞化して仕事がなくなっている。

2.その結果、地方の働き手は首都圏に移住している。
 首都圏の一極集中状態となっている。

 過去の地方圏から大都市圏への人口移動は
 以下の3時期に分かれている。
 

 1)1960-1970年代前半
  高度成長期で大都市圏の重化学工業の労働力として移動。

 2)1980-1993年
  バブル経済時代で、東京圏がサービス業・金融業を中心に
  著しく成長し雇用を吸収。

 3)2000年以降
  円高による製造業への打撃、公共事業の減少、
  人口減少により地方の経済・雇用が縮小し
  東京圏への若年層を中心にした人口移動が発生。

3.地方には若者がいなくなり高齢化している。
 子供は生まれないので、人口減少が起きる。

 
 2010年から2040年にかけて「20~39歳の女性人口」が
 5割以上減少する市区町村は896自治体もある。
 これを「消滅可能性都市」と名付けている。
 896ということは全自治体の半数である。

 消滅可能性都市のうち、
 2040年時点で人口が1万人を切る市町村は523自治体で
 「このままでは消滅可能性が高い」のである。

4.首都圏に移住した若者は、生活が楽でなく
 かつ田舎のように世話を焼く人もいないので
 未婚者が多い。

 これは盲点でした。
 東京は結婚に向かない土地なのです。
 東京圏の婚活の支援は少子化対策の重点テーマです。
 国家施策として取り組むべきですね。

5.人口の多い首都圏の出生率が下がり、
 当然、日本全体の出生率が下がる。

日本全体を一括して出生率を上げようとしてもダメなのです。
地方を活性化して
東京に集中した人口を呼び戻さなければなりません。
その対策として、

 コンパクトシティ
 中高年の地方移住の支援(これは少子化対策にはなりませんね)
 地域経済を支える基盤づくり
 「スキル人材」の再配置
 農林水産業の再生

などの解説のほかに、
実際に地方活性化に成功している例の紹介も多くされています。

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本書の主張の中心である地方の人口増、
そのための出産可能な女性の人口増対策として、
以下の分析をされています。

若年女性(20―39歳)人口増の
全国上位20市区町村をとり上げ、
その要因を6つのモデルに整理した。
1)産業誘致型
  従来から存在するモデルで最大件数
2)ベッドタウン型
  立地に依存するがそれを促進する施策が有効
3)学園都市型
  これも誘致施策が有効
4)コンパクトシティ型
  街の機能を中心部に集約して職住接近などを実現
  このモデルは20位には入っていないが、
  著者たちはお勧め。
5)公共財主導型
  国主導の研究学園都市や関西空港関連
6)産業開発型
  20の中で唯一だが、
  秋田県大潟村は農業の産業化で成功し、
  若年女性増加率で全国2位となっている。
  この型を延ばすべきという強い主張がされている。
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その他、具体的なデータや事例が紹介されています。
是非ご一読ください。中公新書で900円弱です。


地方を活性化して地方に人間を呼び戻す、
難しいことですね。

9月29日日経新聞に世論調査結果が載っていました。
地方創生については、
 期待できる   35%
 期待できない 46%
となっていて難題ぶりが示されています。

ですが実現できれば2重3重に利点があります。

 結婚しやすい環境で生活できる。
 子供を育てやすい環境で生活できる。
 職住近接で自由時間が多くとれる。
 東京圏の高齢者負担が減少する。

石破茂地方創生・国家戦略特別区域担当大臣の出番です。
石破大臣は就任を渋ったようですが、
現在日本で最も重要な大臣の一つです。

頑張っていただきたいと思います。

1 件のコメント:

Kumagorow さんのコメント...

リニア新幹線網を国家予算で構築して、その費用をゼロにすれば、若者は地方から通勤が可能になります。それで得るノウハウで、世界主要都市をリニアで結びます。投資の10倍以上の効果が期待できますし、地方も活性化すると思います。