2013年11月29日金曜日

食品偽装から日本人の思考法を考える!!

【このテーマの目的・ねらい】
目的:
 食品偽装事件の背後にある原因を整理してみる。
 その根本原因と思われる
      日本的思考法について考えていただく。

ねらい:
 ブランド信仰・ブランド志向を止めて自分の目で
  ものごとを考え決めていただくように社会を導いていただく。
 これから活躍する日本人の教育法について
                     考えていただく。
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何重にも唖然とさせられた問題です。

まず、「お前もか」という感じで、
ほとんどの大手百貨店、ホテル、等が
偽装に手を染めています。

                 食品偽装の代表事例


  偽装者
  偽装・虚偽表示内容の代表例
ディズニーランド
  • 紅ズワイガニをズワイガニ
  • ブラックタイガーを車エビ
  •  一般的な鶏を地鶏
 阪急阪神ホテルズ
  • 加工肉をビーフステーキ
  • バナメイエビを芝えび
  • 冷凍魚を鮮魚のムニエル
  • トビウオの卵をレッドキャビア
  • 違う産地の豚肉を霧島ポーク
  • 一般ねぎを九条ネギ
高島屋
  • ブラックタイガーを車海老
三越伊勢丹HD
  • 中国産の栗をフランス産
 
そごう・西武
 
  • 鹿児島産牛を阿波牛
大丸松坂屋
  • 加工牛肉を和牛ステーキ
  • 冷凍品を鮮魚
丸井グループ
  • ホイップクリームを生クリ―ム
セブン&アイ
  • バナメイエビを芝えび
  • ホイップクリームを生クリ―ム
 
ロイヤルパークホテルズ
  • 加工肉をステーキ
  • バナメイエビを芝えび
ホテルメトロポリタンエドモンド
  • 加工肉をステーキ
  • バナメイエビを芝えび
ヒルトン東京
  • 山形牛を前沢牛
  • 通常の野菜をオーガニック野菜
  • カナダ産えびを北海道産ボタンエビ
帝国ホテル
  • ストレートジュースをフレッシュジュース
近鉄百貨店
  • 台湾産の桜エビを静岡由比漁港水揚げ
京都吉兆
  • 接合肉をローストビーフにして販売


今回コトが大きくなったきっかけは、
阪急阪神ホテルズで、いい加減な弁明をしたために
社長が辞任に至ったことです。

このホテルの偽装が判明したのは、6月に
ディズニーランド経営のオリエンタルランドで問題が発覚し
それを契機に
阪急阪神が社内調査をした結果だったのです。

阪急阪神事件で気づいて、
各社が調査をしたので次から次へと
偽装・虚偽表示が発覚しました。

中には最近の京都吉兆のローストビーフ偽装のように
完全に法律・食品衛生法違反のものもあります。
ローストビーフは、中側は生で食べる可能性もあるので
一体肉しか認められていないのに
結着剤で固めたブロック肉を
「ローストビーフ」として販売したのです。

今回の発端のオリエンタルランドは、
マスコミからも何ら糾弾されなかったのは、
広告の大スポンサーだからだろうという
やっかみ半分の意見がどこかに載っていました。

いい加減な弁明という点では、
今の猪瀬さんも危ないですね。
敵とやっかみが多くいるでしょうから。

次いでの驚嘆は、
2002年に雪印食品が廃業に追い込まれた牛肉偽装事件、
2007年のミートホープ牛肉ミンチ偽装事件
同じく赤福の消費期限偽装事件
2008年の船場吉兆の料理再利用事件
等々が社会的に大問題になり糾弾された教訓が
まったく生かされていないことです。

どうにも信じられないことです。

なぜこういうことが起きるのでしょうか。

まずは、
料理を作る現場とメニュを作る営業現場の縦割り乖離
が要因として挙げられています。

自分でメニュを決め料理を作る個人営業なら
こういうことはまずできないでしょう。
あれば完全な不法行為です。

2番目にはそのことに輪をかけて、
現場はホテルや百貨店のテナントで
お店の管理に対して
目が届きにくくなっていることもあるでしょう。

しかし、
根底には日本人のブランド信仰があると思われます。
ブランド信仰ないしはブランド志向は、
「多くの人が選択するものを自分も選択する」という思考で
言うなれば自分の評価判断力の放棄です。

そういう思考法を、
私は著書「価値目標思考のすすめ」で、
農耕生活・村社会から生まれた「前例・みんな主義」
と名付けました。

変化に乏しい農耕生活、地縁が固定化する村社会では、
近隣と協調することが第1義であり
「自分はこう思う」ではなく、
「みんなはどうしているか」と考えるのです。
「右へ倣え」なのです。

その典型例が「芝えび」でしょう。
プリプリしたエビが好きならバナメイエビがいいのに、
「芝えび」だと言われて、
「やはり芝えびは美味しいな」と思って食べるのです。

バナメイエビの方がプリプリだという実証記事が
朝日新聞DIGITALに載っていました。
2013年11月21日「芝エビ、プリプリじゃなかった」

「そんなに違わないものなら」がミソで、
明らかに品質が落ちれば
誰しも「おや、これはまともな肉ですか?」と聞くでしょう。

ところが、うまいこと誤魔化せる範囲であれば
「柔らかくて美味しい肉だ」と
お客様は加工肉を食べるのです。

もともと専門家でなければ
その材質が何であるかは見分けられないのです。

テレビ番組で食通・グルメだという人たちが登場して、
ホンモノニセモノを食べ比べるのですが、
半分くらいの人が間違えていました。
ホタテとキノコを間違えるなどもありました。
人間の食感はそんなものなのです。

だったらと、
敵の弱みに付け込んで「誤魔化そう」となります。
どうせ分からないのだから、
「いいこと言っておこう」という考えが出てくるのは
自然といえば自然でしょう。
こういう時にブランド志向が効いてしまいます。

バナメイエビやブラックタイガーなどの場合は、
そちらの方が美味しいいう面もあれば、
なおさら不良品を騙して売ったという意識はないでしょう。

ところで、日本人のブランド志向または
「前例・みんな主義」は、
なぜ脱農耕社会になった今も残るのでしょうか。

長い間の淘汰の結果で、
そういう思考法がDNAに残ってしまっているのなら大変です。

先日の朝のテレビ番組で、
日米10人くらいずつの若い人たちのチームで、
目の前の形・色の違う3つの箱からどれを選ぶかという
実験をしていました。

そうしましたら、日本チームは
積極的にこれだと主張する人がいなく、
結局投票による多数決で決めました。
自分の意見があるのに遠慮して言わないのです。

このことは私の研修の時にも経験しています。
「質問ありますか?」と聞いてもめったに質問が出ませんが、
名指しするとほぼ全員、立派に質問があるのです。

アメリカチームは多くの人が自分の意見を述べて
やり合っていました。

もし、DNAが影響を受けているということなら、
ディベートなどの訓練をかなりやらないと
グローバル人材になれないでしょう。

かなりの対策を講じないと、
ブランド信仰、「前例・みんな主義」もなかなか
是正されないということです。

早くそこから脱却したい
「太平洋戦争日本一方的悪者論」も、
戦後教育を受けた層には染みついてしまっていますかねーー。

最後になりますが、この食品偽装事件の対策は
こう思います。

法律や監視強化ではなく、
「恥を知れ!!」の徹底でよいはずです。
これは、素晴らしい日本的思考です。

法律や監視強化でなければ、
この問題が収まらないなら
日本はとんでもなく恥ずかしい国ということになります。

一緒にされたくない偽装大国と一緒になるのです。
そんなことには耐えられません!!

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