2011年5月9日月曜日

浜岡原発運転中止要請 是か非か

 5月6日、菅総理は中部電力に対して
 浜岡原発の運転を防潮堤の設置など
 中長期の対策が完了するまでの間として
 標記の要請をしました。

 この措置に対して、英断であるという賛成論と
 唐突で説明・根拠不足であるとする疑問説が
 提起されています。

 私は目的論として、
 本件は、以下のように考えるべきと思います。

 「目的」は、原発が事故を起こして
 放射性物質を拡散させないことです。
 「ねらい」は、当然、地域および海外を含む周辺の住民に
 健康被害を与えないことです。

 なぜ、放射性物質が拡散するかというと、
 原発の運転中止後、原子炉及び核燃料プールの冷却
 を実施できないことが原因です。

 地震で、設備が損壊することは論外です。
 今回の地震でも、どの原子炉でも
 致命的な損壊は確認されていません。

 冷却するためには、以下が必要です。
  1.通常電源が確保できる
  2.それができない場合、予備電源が稼働し冷却系が動く
  3.そのためには、予備発電機が動く、燃料が確保できる、
    海水ポンプが動く、の3条件が必要です
  
 逆に言えば、高い津波が襲ってきても、
 3.の条件が満たされれば、
 放射性物質の拡散は起きないのです。

 現に、福島第1とほぼ同じ環境にあった福島第2原発が、
 被災後3日目の14日には冷却に成功して
 事なきを得ています。
 想定津波の高さは、第1が5.7メートル、
 第2が5.2メートルで、ほぼ同じです。

 その点からすると、
 防潮堤の建設は、不要か念のためであり、
 上記1.2.3.の対策が先でしょう。

 おそらく、この3対策は
 コストも期間も防潮堤の構築より小さいはずです。

 先入観で津波を避けようという発想は、
 目的喪失以外のなにものでもありません。

 至急、再検討をお願いしたいものです。 

 なお、この目的論からすると、
 他の原発も同じような見直しが必要です。

 

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

 YHです。
 極めて的を射た論評ですね。
 日本のマスコミは、直接原因を棚上げにして、
 放射能もればかりを報道して、
 まるで原発自体がとても危険であるように誘導しているよ うに見えます。
 
 原因は、津波対策ができていなかっただけですから、
 その点を追求するべきと思います。

 又、浜岡原発の停止要請についても、全く熟慮に欠けま  す。
 原因は津波対策なのですから、その対策のやり方は、
 色々あると思います。なにも15m以上の堤防を作るだけ が、対応策ではないと思います。

 ご指摘のように、発電機、ポンプを密閉空間に移すとか、
 高台に移して、ケープルを地中を這わすとか、
 あるいは、防水カバーで覆うとか、・・・。
 素人が考えても、いくらでも短期にできる対応策が浮かび ます。

 又、東海沖地震予知の確率ですが、これもあたかも科学的 根拠があるように話していますが、そうおっしゃるなら、
 なぜ千年に一度の東北巨大地震の予知ができなかったので
 しょう?
 まだ予知については、科学的に確立していないと見るべき
 です。

 むしろ、日本はそこらじゅうで地震の可能性があると考え るべきです。
 従って、東海沖地震のみ危険視して、浜岡原発を停止させ るのは、どう考えても、意図的としかいいようがありませ
 ん。

 又、今回の原発の災害における責任を、東京電力にだけ押 し付ける政府の姿勢も全くおかしいと思います。
 
 東京新聞によれば、もともと福島の原発の建設された場所
 は、35mの高台に位置していたというではありません  か?
 それを海水を取り入れやすくするために、わざわざ削って 低くしたのに、その状況を安全だと許可したのは、国では ないでしょうか。

 又、ご指摘の津波対策の脆弱性に対して、それを安全と認 可したのも、国ではないですか。
 
 上野さんが、先にご指摘のように、誰がこの状態を放置し たのか、きちんと原因を追究すべきと思います。

 又、予知できない災害の場合、電力会社の免責事項が書か れているのに、千年に一度の地震、津波に対し、それを適 用せずに、電力会社の責任に寄せようとするのは、これま た、おかしいと思います。

 こんな国の対応を見れば、原子力発電を推進していた電力 会社は、まるで梯子を外されたかのように、国にリスクヘ
 ッジしてくると思います。

 中部電力も、浜岡原発の停止要請に、従わざるをえないの も、東京電力だけに責任を求める政府の姿勢にあると思い ます。
 
 おかげで、全国各地の原発は、定期点検後の再開がストッ プする気配です。
 
 このままでは、日本国中電気不足で、戦後の荒廃と同じよ うな雰囲気に巻き込まれ、経済はますます萎縮状況になっ ていきます。

 そろそろ、左翼の国家破壊主義者による政府運営を阻止し ないといけない時期にきているのではないでしょうか?

 是非、上野さんのブログで、訴えて欲しいものです。

 日本の今の短絡的対応は、海外諸国からは、きわめて冷や やかな評価となっていることも付け加えておきます。
 いわば、日本には政治が不在である、ということを意味し ています。