2011年4月6日水曜日

ようやく福島原発事故の真因に迫ってきた!

 4月6日の朝日新聞朝刊にこういう記事が
 載っていました。
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 東電、設計の不備指摘
 原発事故分析 福島第2と比較

 という見出しで、
 概略以下の内容が報告されていました。

 【1.非常用ディーゼル発電機の損傷】

 第1・第2とも14メートル以上の津波に襲われた。

 第1では
 タービン建屋内の非常用ディーゼル発電機などが冠水し、
 使用不能。
 これにより、
 原子炉の冷却が不能となり放射能漏れを引き起こした。
 
 第2では、
 発電機などが機密性が高い原子炉建屋内にあり、
 機能を維持した。

 【2.冷却用の海水をくみ上げるポンプの損傷】
 設備がほぼむき出しになっていた第1のポンプは
 すべて運転不能となった。 
 
 第2ではポンプ用の建屋内にあった4台のうち1台が
 運転可能だった。

 上野は早くから、1番目の点については、
 これが今回の大事故につながった真の原因だと
 指摘してきました。
 (3/22「福島原発の状況 これが本当」の
  ======で囲った部分、
  3/31「福島原発事故から学ぶこと」の5.副系統の軽視)

 2番目のことは気がつきませんでした。
 言われてみればそうですね。
 でもそのような報道はなかったように思います。
 知らなければ考えようがありません。

 ようやく、本当の原因が追及されだしたということですが、
 表面上の真の原因はこうですが、
 その原因がそのまま現れてしまった2次原因があります。
 
 品質管理・品質保証の世界では、
 前者の原因を「発生原因」または「作り込み原因」
 後者の原因を「流出原因」と言います。

 今回の場合の「流出原因」はこうなります。
 福島第1原発ができたのは、1971年から79年までです。
 福島第2や柏崎刈羽の一部ができたのは、
 82年から87年です。

 80年頃に、安全な設計になっているのですから、
 その時点でそうなっていない
 福島第1を見直すべきだったのです。
 
 それをしなかったのはなぜでしょうか。
 その点を今後のために追及しておくべきでしょう。

 なお、「発生原因」「流出原因」の次に
 「復旧遅延原因」があります。
 
 今回も、ずい分「復旧遅延原因」が目立ちます。
 それは、
 まったくこのような事故を想定していなかったからです。

 緊急時の対策を検討しておくことを
 専門家は「コンティンジェンシープラン」と言います。
 これが全くできていませんでしたね。

 今回の事故は、
 今後、品質管理や品質保証の領域で研究材料となる
 非常に多くの題材を提供してくれています。

 事故で大きな被害を受けられた方のためにも、
 この経験を有効活用しなければなりません。

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