2010年4月29日木曜日

サマランチ氏逝く

オリンピックのシンボル的存在だったサマランチ氏が
4月21日、89歳で亡くなりました。
氏は国際オリンピック委員会の委員長を21年間、務められました。
こういう組織は定年制はないのかと思いましたら、
定年制はあったのです。

元は70歳が定年だったのをサマランチ氏が75歳に引き上げ、
さらに80歳まで引き上げて、そこで引退されたのだそうです。

皆様どう思われますか?
定年制は、何のためにあるのですか。
そのねらいは、組織が発展することでしょう。
そのねらいのために、組織の発展に貢献できる人にチャンスを与える
ことが、目的のはずです。

単に、多くの人にチャンスを与えることが目的ではありません。
多くの人にチャンスを与えても、
その人が適任ではなく、組織をダメにしたのでは意味がありません。

したがって、IOCの定年延長の審議のときに
「サマランチ氏が引き続き委員長をされるのが
オリンピックの発展のためによい」と
委員たちが思われたから、
定年制延長に賛成されたのでしょう。
目的思考の考え方でよい、と思われます。

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ところが、日本でこういうことがありました。
ある法人で、
サマランチ氏よりもその組織の発展に貢献したと
周辺のだれもが認める方が
その組織の運営責任者の職から退くことになりました。

その方は72歳でした。
実は、70歳だったそのポストの定年を
その方の働きかけで72歳に引き上げていました。

そしてサマランチ氏がなさったように
もう一度定年延長をしようとされたのですが、
会長の反対で実現しませんでした。

その会長は大企業の出身者です。
大企業は目的よりも「大義」が優先します。
決まりを守ることが大事なのです。

たしかに、大企業は人材が豊富ですから、
優秀な人が引退しても次の方がおられるでしょう。

小さな組織は人材が豊富ではありません。
その組織は、その方の力で大発展をしましたが、
特殊な組織ですから、適任な後継者の獲得は困難でしょうね。
会長は、そのことを正しく認識されていたのでしょうか。

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私の会社も人材難です。
当社の一番のネックは営業です。

以前、営業担当に退職されて穴があいたときに
株主総会でそのことを報告しました。
「退職の影響で売上が落ちた」と。

そうしましたら、
大企業出身の株主から
「コンティンジェンシプラン(代替案)を用意していないのはいかん」
と言われてしまいました。

私は一瞬何を言われたか分かりませんでした。
その意味が分かったときに
「たしかに大企業ではそういうことだろうな」と思いました。

前提認識の違いに今さらながら愕然としました。
零細企業は、可能な範囲でダッシュして
うまくいけば生き延び発展する、
何か致命的な問題が発生してそれを乗り越えられなかったら
終わりになるのです。

だから零細企業の生き残りには歩留まりがあります。
その中から僅かな率で大企業に発展していくのです。

大企業はそのようなリスクがあったら大変です。
大企業と中小・零細企業は行動原理、マネジメント原理が異なります。

大企業で優秀だった方が小企業に行くと、
ほとんど役に立たない人が多いのはそのためです。

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